ヒラオカさんがつる!つる!つるっ!!

髪を切った。
鎖骨辺りまであった黒髪ストレートがAラインのいわゆるクラシックボブに、毛先が内巻きになるよう少しパーマをあてて。座っている椅子の周りには切られた髪の毛がバサバサ落ちていて、その代わり私の頭はすっかり軽くなった(お馬鹿さんになったと捉えて下さっても結構です)。後ろを通り過ぎる馴染みの美容師さんに「あれあれ可愛らしくなっちゃってまーぁ(笑)」などと笑われ失礼な!と舌を出してみせるものの、目の前の鏡に映る表情は思いっきり“満更でもない”感に満ち溢れていて我ながらイタイ。ハイネックが似合う長さだな。よしよし。一つ間違えばヅラのようだな。うんうん。


最後、仕上げのブローをして貰っている時、隣のお客さん担当のヒラオカさんが突然すべった。ツルッ…
こちらが、え?と思う間もなく、パーマ液を取ろうとしたのであろう右手はそのままに、思わず出した左足が落ちていた髪の毛(たぶん私の)を踏み、更にすべる。慌てて右足を出すが更に更にすべる。ツルッツルルッ。その間わずか0,8秒、ヒラオカ氏一言も発さず、見事な3回連続スリーップ&フィニーッシュ!!
頭の後ろでドライヤーを握るヤマオさんが噴き出し、私も思わず声を上げて笑ってしまう。「面白い!ようやったなヒラオカ!俺、美容師人生で3連続滑りは初めて見たわー」
美容師としては有り得ないほど無口なヒラオカさん(32歳、坊主)が、鏡越しにニヤリと笑う。なんて人、漫画のようだわ。