刺繍

チェコ雑貨のお店で買ったリスの刺繍キットの封を開ける。クロスステッチは無心になれるから。ひとつずつ針と糸で色をのせていって、最後に絵が生まれるあの地味な作業と小さな感動が好きだ。
始めてみると、(解っていたことではあるけれど)チェコの製品なので色指定が読めない。眼を凝らしてカラーの見本図(これがまた小さい)と何束もの糸を見比べ、遂にはまあいいやと好みの刺繍糸を使ってしまう。たまに、はっぱの葉脈とその周辺の緑が混ざり合ってしまったりして、そうするとまた更に自己流で模様を付け足してしまったりして、もはや何の為にわざわざチェコの図案を選んだのかわからない。これじゃあいつもと同じじゃあないの。あああ、外国の素敵デザインが。


さて、闇の帳が下りる頃、ようやくリスあらわる。
元の図案ではふくふくして幼い顔立ち(ディズニーのチップ&デールみたいな感じ)だったリス氏が、手元の布の上では妙にツンとした、細身でイタチ顔の子になってしまった。まあこれが刺繍の醍醐味でもある。最後に赤いキノコを刺して完成。