鴨川に入った

夏の始まり恒例行事、入水式。今年ばかりは下手な学生振舞いはするまいと心に決めて、それなりの格好(飲み会の為だけの)とアクセサリー、ハイヒールで馳せ参じたのに、結局…大変不本意ながら…
わあわあ叫ぶ半裸の後輩や同輩共に取り囲まれ正装のまま(繰り返すが断じて入るつもりはなかった!)鴨川水の洗礼を受ける。半ば無理やりに引きずり込まれたとは言え、こうなったら私だって阿呆で迷惑で青臭い大学生の一人に過ぎないのは自明。「全員このまま大阪湾に流されてしまえ!」濡れそぼる髪をかき上げスカートを握り締めて精一杯の悪態をつく。

その時、笑いながら水をかけてくるKと目が合った。私には戦う意志があったので、容赦なく右足を蹴り上げる。鴨川の闇に水飛沫。さようなら、さようなら、さようなら、愛おしい、今。