「逃げない」

色々考えた末、地元に帰ってきた。片道千円弱で帰れる距離なのにも関わらず半年に一度顔を見せるか見せないかの私は、つくづく親不孝な娘だと少し反省している。この間京都で友人と、もうすぐゾロ目かー早いねーなどと話していたけれども、それはつまり親や祖父母も一緒に歳をとってゆくということなのだ。どんどん身体が弱っていくお祖母ちゃんや、あちこちに不調を抱えているくせに、過労死するのではないかという程の激務を毎日(私たちの学費のために)こなす両親の姿を何も出来ず只傍で見ているのが辛くてこれまでずっと避けてきたという卑怯な本音がある以上、もうそろそろ「逃げない」選択を私はすべきなのだ。

昔は見上げ従うばかりであった畏怖の象徴が、背を丸め、手を痙攣させながら「可愛い孫が帰ってきたんやで、ご馳走せななぁ」と言って台所に立とうとする姿に、泣くのと笑うのが混じった変な顔をして、ただ「ありがとう」と云うしかない私ではあるけれども。