道中

硝子を隔てた向こうは闇。窓に額を当てて、地下を流れる振動に身を任せる。
日々「土日、その他」の拍子で回りゆく生活に、これで満足かと自問せざるを得ない。されど答えは出ず、出せない自分に苛立つ。出してる人はいるじゃん。なんで出さないの?自分がわからない?くだらない。これまで何やってきたん。あんたは何やってきたん。

一生懸命は楽しい。境地に至るまでの苦しさを乗り越えたら、懸命に何かに向かう事はとても楽しい。そんな私は死ぬほど一生懸命に何かを求め続けたことがある?
若干冷房が効き過ぎた地下鉄車内に逃げ場は無く、仕方が無いから隅に身を寄せ疲れた人々の観察で気を紛らわせようと試みる。
それを解っているから、ここで逃げたらあかんと思うのかな。今度こそ逃げたくないと。でも、タイミングを間違えたら全部おかしくなる事も解る。
イヤフォンから流れるリズムが突然崩れ、きゅるると妙な音を発したのを最期に何も聞こえなくなった。視線を落とすと電池切れ。
どうすればいいどうすればいいどうしたいどうすれば。
自らの決断で夢に向かって行った人達を本当に格好良いと思う。一方私は、自分の望みすら定かでない訳だ。甘えなのか勇気なのか。妥協なのか挑戦なのか。まだまだ先は長い。しかし時が去るのははやい。
週半ばの休日を前に、5号車の人々は、皆何処か朗らかな表情をしている。