soup

池袋のスープストックに立ち寄れば案の定悩める人。
オマール海老のビスクか?オニオンクリームポタージュか?はたまた『食堂かたつむり』のジュテームスープか?決断するって、どうしたって真剣にならざるを得ない。

と言いつつ、割とあっさりジュテームに決めた。ジュ・テーム。愛してるだって。我ながら、何という…。

さて、南瓜と、さつまいも、りんご。玉ねぎ。
クレソン。百合根。とろけるバター。
お疲れ気味の胃が優しい味わいを望んでいたので嬉しい。裏ごしされた根菜の、少しざらつく後味を、玄米ご飯に絡めて噛みしめ喉を滑らせ水で潤す。このひと口にすらけだるさを感じる一方で、このひと口に元気を貰う。
ふんわりと自然の甘味、くちびるにほんのり爽やかなセロリの風味。濃厚な黄色にスプーンを浸して、芋の薫りを愉しんで、よく噛み、丁寧に食べる。

店内を照らす橙の光のもと、風の様にびゅうびゅう流れていた時間が徐々に滞り、思考の澱も底へと沈み、今夜もまた、すきとおった上澄みだけが残った。様々な想いが交錯して、収拾をつけられないまま馬鹿だな、と思う。ばかだな、私。
寝てしまいそうである。