恋愛ってなによ

昨夜別れようと言われた。自由が欲しいのだという。好きだけど、面倒。大事だけど、煩わされたくない。君がいると、自分勝手に生きられない。
電話口で私はどうして、と泣いた。そう口にしながらも頭では理解していた。そんなの私だって常にうっすらと感じている。でも、人と人とが付き合うって、そういうことだと思っている。そして私にとってその気遣いや何やらはそこまで負担にならない。
結局、そんな不自由さより、私は自分だけを愛してくれる人の温もりを失いたくなくて、彼は恋人同士の安定感・安心感より自分の道を思うがままに謳歌したいと願っている、そういうこと。

朝まで過ごした。そんなのおかしいと言って嫌がる彼を最後だからと無理矢理引っ張った。「また情に流されてしまう」それでもいいよ。昔、二股をかけられた挙句、愛人でいいとまで言って彼氏(だった人)に関係を続けさせた女の人の話を聞いて理解が出来なかったけれど、今ならわかる。というか、それは今の私そのもの。

ホテルで彼はひたすら過去形だった。「楽しかったね」「愛してたよ」「結婚しようと思ってた」。それを聞いていたら何だか笑えてきた。もう、思い出?私たちの3年半は、昨日までご飯一緒に作ってコタツでテレビ観てた毎日は、そんなにいとも簡単に「古き良き思い出」になった?
取り敢えず、泣かないと約束していたので(そんな約束クソ食らえ)、部屋にあった桃鉄で遊んだ。USAバージョン、10年分。9年目までは私が順調だったのに、最後、何たらボンビーに物件をほとんど吹き飛ばされて一気に形勢逆転。最後の一年は散々な出来で、一方彼はぐんぐん資産を増やして、最後は見事に勝利を収めてしまった。その間彼は、車の中では決して触れようとしなかった私の身体をずっと抱っこして、時折髪を撫でながら「気持ちいい」と言ったりした。私は天井を仰いで、口の端をあげて笑った。生きるのってしんどいなぁと心から思ったけれど、泣いてしまう訳にはいかなかった。


相手はずっとしないと言い切っていたけれど、した。2人して昼前まで眠った。
眠りに落ちる間際、彼は「恋人同士に戻ろう」と囁き「これからはライトな恋人になろうぜ」と言った。戻るも何も、私の中ではまだ終わっていなかったのに。なにそれライトって一体何だろうと考えている間に、意識を失った。夢は見なかった。