幸福な降伏

登子ちゃんカップルとリカちゃんと私の4人で共にスウィーツ・パラダイス初体験に向かう。しょっぱいものと甘いものを交互に胃に収めていって、1時間後に降伏。だめーごめんなさいーもうはいりませんー。しかしまあよくぞ戦ったものだ、そんな事を言い合いながら未練がましくチョコフォンデュ。さすが登子ちゃんの彼氏・カム君は男の子なだけあって資本金の二倍くらい食べていた。少しばかり驚いたのは、平日14時なのに制服姿の女の子達がわいわい居たこと。みんな、学校は?この時間帯にケーキバイキングなんて食べちゃって平気なんだろうか。家に帰ったら夕飯も食べるのか?余計な心配をしつつも、こういうお店が学校周辺に存在するその環境を羨む田舎っ子3人。カム君は京都市出身なので辺境の地への怒涛の愚痴には加わらず、へらへら優しげに笑うばかり。

その後、当初の予定通り、リカちゃんと私はそろそろ終焉を迎える冬のバーゲンへ繰り出す。卒業式含め、これから幾つか催されるイベントの為の洋服を物色。基本買い物は一人で行きたい派なのだけれども、彼女みたいに趣味の合う子とのそれはまた別だ。二人とも、大いにはしゃぐ。秋の終わりから目をつけていた丸襟のコートが50%オフだったので、色違いのお揃いで購入した。コート、無いわけじゃないんだけど…と、それぞれ自分への言い訳に忙しい。
おやつが食べ放題だったのだから当然といえば当然なのだが、夕飯も食べずに各閉店まで歩き回る。大満足でバスを待つ間、それからバスの中、そして彼女の部屋で、思わぬ話が出来て少し気持ちの引き締まる思いがした。私が私を考える時、彼女の存在はとても大きいのだと改めて思い知る。「いまここ」で生きることからの疎外感やマイノリティな感性や色んなものを吸収することについて笑って真面目に話せる間柄は貴重だ。共感、出来る人も。張り合う人も。今夜は今後生きてゆく上で決して忘れたくない夜になったけれど、買い物疲れと寒さで文章にならない。本当はこういう気持ちこそ書き留めておくべきだと解ってはいるけれど。戸川純ムーンライダーズを借り、昼間の戦利品を抱えて凍てつく月の夜を歩いて帰宅。せめてこれを読んで情景を思い出せたらいい。
K側の世界とリカちゃん側の世界の両方が私を成り立たせている。どっちつかずを、嘆くな。